進歩性について
審査官は本願明細書を見た上で引用文献を探すことになります 。このため、審査官の見解は後知恵的になりやすく、組み合わせ容易になりやすいともいえます。ですので、進歩性違反の拒絶理由通知を受けた場合でも、反論の余地が多分に残されていると思います。
進歩性の主張には、阻害要因・予測できない(顕著な)効果が有効です。
阻害要因は、複数の引用文献を組み合わせたときにおかしいと感じることがあるかで考えたりします。
例えば、引用文献1と引用文献2で、その構成とすることの目的(示唆する方向)が逆であるとか、引用文献2を組み合わせると引用文献文献1の課題が解決できなくなるなど。
一方、複数の引用文献を組み合わせたときにおかしいと感じることがなければ、阻害要因を主張することは難しいと思います。
予測できない(顕著な)効果は、材料・化学系の出願で有効です。このため、化学・材料系の出願では、実験データや明細書の効果の記載を充実させることが重要です。
明細書を記載するときには、阻害要因や予測できない(顕著な)効果などの観点から効果の記載を大事にしますが、その構成とすることの目的(方向性の記載)も大事です。また、その構成単体の効果だけでなく、他の構成と組み合わせたときに生じる効果も
大事です。その効果ですが、他の文献に記載されているようなありきたりのものよりも他の文献に記載されていない意外性のあるもののほうが有効であると考えます。